遺産分割協議書の手順

遺産分割協議とは

遺言がない場合には法定相続分に従い遺産を分割しますが、相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なる割合で相続財産を分割することができます。これを遺産分割協議といいます。

相続人の1人でも遺産分割協議を請求すれば、他の相続人は遺産分割協議に応じなければなりません。この遺産分割協議は、相続人全員の参加が必要です。また、相続人全員の意見が一致しなければ遺産分割協議は無効となります。

遺産分割の方法

・現物分割
遺産をそのままの形で分割する方法です。
・換価分割
遺産を売却し金銭に換え、それを分割する方法です。
・代償分割
特定の相続人が遺産の全部または大部分を取得し、代わりに他の相続人に金銭を支払うという方法です。
・共有分割
遺産の全部または一部を共有して相続する方法です。分割しないほうが将来土地の値上がりが期待できる場合などにこの方法をとります。

遺産分割の期限

相続税がかかる場合には、相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告・納付を行わなければなりません。ですので、それまでに遺産分割協議を終えておき、遺産分割協議書を作成しておきましょう。ただし、遺産総額が5000万円未満のとき、または法定相続人1人あたりの相続額が1000万円に満たない場合は相続税がかかりません。

遺産分割協議の基礎知識

特別受益

相続人が結婚や養子縁組のため、もしくは生計の資本として被相続人の生前から贈与を受けていた場合には、相続財産の前渡とみなされ、特別受益として相続分から減らされることになります。

遺産分割の方法は、まず相続財産に特別受益の額を足します。それを相続人で遺産分割し、特別受益者は相続分から特別受益の額を引きます。

寄与分

相続人が被相続人の財産の維持または増加に寄与した場合や療養の看護など特別の寄与をした場合には、寄与分が認められ、相続分とは別に遺産を分割してもらえることになります。一般的な親孝行や家事労働では寄与分は認められません。

寄与分をいくらにするかは、相続人間での遺産分割協議によって決定します。寄与分がある場合の相続分の計算の仕方は、相続財産の金額から寄与分の額を引き、それを相続人で分割した後、寄与分のある人は相続分に寄与分の額を加えます。

相続の形態

単純承認
相続の承認には単純承認と限定承認があります。単純承認とは無条件で相続を承認することで、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続することになります。

相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に限定承認か相続の放棄を行わない場合には自動的に単純承認したことになります。

限定承認
限定承認とは、プラスの財産の限度内において、マイナスの財産の責任を負うというかたちで相続を承認するものです。

限定承認は相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に行わなければなりません。また、相続人全員の一致がなければ限定承認を行うことはできません。

相続放棄
相続放棄とは無条件で相続を放棄することです。相続放棄した人ははじめから相続人ではなかったものとみなされます。

相続放棄は相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に行わなければなりません。また、一度相続放棄をすると、取り消すことはできません。

遺産相続手続きの解説

不動産の名義変更

第三者に対抗するためには登記を行うことが必要です。登記をしておかないと、次の相続において手続きや権利関係が複雑になってしまいます。また、相続した不動産を譲渡する場合には、個人の名義で権利を行使することはできませんのでさかのぼって登記を行う必要があります。

必要書類
登記申請書
被相続人の除籍謄本(出生から死亡まで)
被相続人の戸籍の附票
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の住民票写し
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書
登記する不動産の固定資産税評価証明書
登記する不動産の登記簿謄本または権利証
相続関係説明図

 

預貯金の名義変更

判例上、預貯金は相続開始と同時に各相続人に相続分に応じて当然に分割され、遺産分割協議の必要性はないとされています。しかし、銀行実務では相続人全員が署名捺印した遺産分割協議書の提出を要求し、相続人単独での払い戻しには応じてくれません。

必要書類
相続に係わる依頼書[所定の用紙]
遺産分割協議書の写し
相続人全員の戸籍謄本
遺言書の写し(遺言書がある場合)
被相続人の除籍謄本
各相続人の印鑑証明書
非課税貯蓄者死亡届出書[所定の用紙](被相続人が非課税貯蓄の適用を受けていたとき)
非課税貯蓄相続申込書[所定の用紙](相続人が非課税貯蓄の適用を受けるとき)
必要書類は金融機関によって異なりますので、確認しておきましょう

株式の名義変更

通常の売買においては、株主名簿閉鎖期間は名義変更を行うことができませんが、相続の場合には、こうした制限はありません。また、非上場企業の場合、株式の譲渡に制限が設けられている場合がほとんどですが、相続の場合にはこの譲渡制限の対象外となります。

必要書類
株式名義書き換え請求書
戸籍謄本
遺産分割協議書の写し
相続人全員の印鑑証明書